ベースやギターを演奏している時、難しいフレーズを弾く際に、背中や手首にギュッと力が入っていませんか?
どちらかの肩が不自然に上がったり、歯をグッと噛み締めたりしていませんか?
あるいは、ついつい前かがみになって、指板を覗き込むようなフォームになっていませんか?
もしかしたらその練習、上達どころか悪いクセを刷り込んでしまっているだけかもしれませんよ。
せっかく時間と気力・体力を消費して練習しているのにも関わらず、気付かぬうちにマイナス方向に進んでしまうなんて、にわかには信じられないことかもしれません。
ですが、残念ながらこれは実際に起こり得ることなのです。
このような残念な事態を引き起こさないように、この記事を読みながら、あなたの体の使い方と今一度向き合ってみてください。
また、「いくら同じフレーズを練習しても弾けるようになれない…」という方や、
「練習時間が多く取れないので、もっと効率よく練習したい!」という悩みの解決にも繋がると思いますので、是非最後までご覧くださいね。
首まわりを柔らかくする
脊椎の一番上の部分と頭蓋骨の接合部分(画像の赤マルの辺り)は「トップジョイント」と呼ばれ、体全体の動きに大きな影響を及ぼします。
ここに力が入って固まってしまうと脳からの命令(電気信号)が上手に伝わらず、不要な強張りが生まれたり、体が動きにくくなってしまうのです。
特に座っている時、新しいフレーズやスケールを練習する時は指板を覗き込みがちなため、首が固まってしまい、このような状態に陥りやすいです。
この状態だと首周りや肩周りの筋肉はもちろん、腕や指の動きをはじめ、体全体の動きに大きく影響が出てしまいます。(実際にやって試してみてください)
演奏はもちろんのこと、ステージング面にも悪影響を与えてしまうこともあるでしょう。
まずは、この関節「トップジョイント」緩めてあげることを意識してみてください。
もしどうしても首に力が入ってしまう場合は、定期的にトップジョイントの位置を確認し、演奏中いつでも頭と首を自由に動かすことができるようなイメージを持って練習してみましょう。
余計な力が入っていないかどうか確認する
首周りを柔らかくできたら、体の別の箇所にも気を配ってみましょう。
肩や背中に力が入っていたり、左右の肩のどちらかだけが上がっていたりしませんか?
無意識のうちに歯をグッと噛み締めていたり、呼吸を止めながら演奏してしまうということもよくあります。
あるいは手首や指先に不要な力が入っていないでしょうか?
特にストレッチ系フレーズの演奏時は、力を入れすぎたり、無理な体の使い方をして手首や関節・筋を痛めてしまいがちなので注意しましょう。
股関節や膝、足首など、下半身も不自然に固まってしまわないように注意を払ってみてください。
立っている時と座っている時の違いを意識する
一般的に、ライブでは立って弾くことが多いでしょうし、レコーディングの際や長時間のリハーサル・普段の練習などはイスに座って弾くことも多いのではないかと思います。
また、座ってライブを行うケースもあると思いますので、できれば立っている時とイスに座っている時、両方の練習を行うのが望ましいです。
地べたにあぐらで演奏するのは体と楽器のバランスが大きく変わってしまうので、できるだけ避けましょう。
しかしながら、立っている時と座っている時ではどうしても様々な違いが出てきますので、下記の点に注意してみましょう。
演奏フォームや体の使い方が変わっていないか?
立っている時と座っている時の演奏フォーム・体の使い方に違いはないでしょうか?
どんな違いがあるのか、骨や筋肉の動きをゆっくりと噛み締めるように確認してみてください。
重心の位置も変わりますし、大なり小なり変化があるのが普通です。
ただし、あまりに大きな違いが生じるようだと練習の効率が非常に悪くなってしまうので気をつけましょう。
ストラップが長めの方は、立っている時と座っている時の差を縮めるためストラップの長さを調節してみてください。
もちろん演奏時のルックスも大事ですので、自分自身が納得できる長さに調節すると良いでしょう。(僕は度々ストラップを下げようとしては失敗しています 笑)
左手とネックの位置関係はもちろん、右手とボディの位置関係がずれると、ピッキングの強さや角度など、思ったより大きく演奏性に関わってきます。
これらは音色にも直結する部分ですので、しっかりと確認しましょう。
また、座って演奏する時は、無意識のうちに楽器を抱え込むようなフォームになったり、必要以上に右肩が上がってしまったり、楽器が少し天井を向いた状態になりやすいので注意しましょう。
練習中、時々交互に立ったり座ったりすると、どのような動きの違いがあるのかを再確認することができます。
目線は変わっていないか?
楽器と目の位置関係が変わることによって、ポジションマークの見え方に変化が出てきます。
「座っている時は指板面のポジションマークを見て弾いていたけど、いざ立って弾いたら弦の影に隠れてよく見えない!」なんてことにならないように気をつけましょう。
普段あまり意識してないかもしれませんが、微妙な感覚の狂いは、いざという時に思いもよらぬ悪影響を及ぼす可能性があります。
普段から「立っている時と座っている時の違い」を意識しつつ練習に取り組むことによって、どちらで演奏した時でも大きな違和感が発生することはなくなり、よりスムーズかつ確実な演奏ができるようになるでしょう。
終わりに
「あ、ここで体がこうなってるから弾きにくいんだ」と気づけた時がありましたか?
そこに気づけた時、それはあなたが一歩上達した瞬間です。
この記事を参考に、そんな上達の瞬間をたくさん見つけてくださいね。
また、ライブパフォーマンスの際などは必ずしも常に理想的なフォームで弾けるわけではありません。そのような際でも、自分の普段の体の使い方や弾き方を理解していると、上達の大きな助けとなります。自分の普段の体の使い方・弾き方と比較検討してベストなパフォーマンスを目指しましょう。
効率的な体の動きに、知性と音楽的な感性を働かせると、最高に実りのある練習になると思います。
どうか素敵な練習ライフをお過ごしください!